良い手数料と悪い手数料

スポンサーリンク

手数料は悪者ではない

投資信託やETFを購入すると、いろいろな「手数料」はつきものです。投資家の中には、極端に手数料を忌み嫌う人もいますが、手数料をすべて否定すると経済が成り立ちません

手数料が発生するということは、裏で誰かが仕事をしているということです。仕事に対して報酬が払われなかったら、誰だってイヤですよね?

手数料という言葉を「誰かの仕事に対する報酬」と置き換えれば、手数料には一定の正当性が成り立ちます。と言っても、手数料を払うのがイヤなのもまた事実です。

そこで、筆者個人は、手数料に対して次のような考え方で向き合っています。

  • 支払うべき手数料は支払う
  • 根拠のよくわからない手数料は疑う

そういう意味では、投資信託界隈には(投資信託に限った話でもないですが)、「良い手数料」と「悪い手数料」が存在します。

「良い手数料」は、支払い根拠が理解でき、良心的な価格設定がされている手数料です。「悪い手数料」は、支払い根拠が不明で、ボッタクリのような価格設定がされている手数料です。

以下では、最近筆者が気になった「良い手数料」と「悪い手数料」の例を挙げてみたいと思います。

信託報酬の引き下げ合戦は「やり過ぎ」

「支払うべき手数料は支払う」という原則に従えば、eMAXIS Slimシリーズを筆頭とする信託報酬の引き下げ合戦は、ちょっとやり過ぎです。

信託報酬の引き下げは、運用資産が増え、徴収する信託報酬にも余裕が出てきたから信託報酬率を引き下げる、というのが本来のあるべき姿です。

ところが、eMAXIS Slimシリーズは、運用資産に多寡に関わらず、問答無用でライバルよりも安い水準まで信託報酬を引き下げています。こんなことをして、きちんとした儲けが出ているのでしょうか?場合によっては、不当廉売(ダンピング)とみなされ、公正取引委員会に目をつけられることにもなりかねません。

安い信託報酬は確かに「良い手数料」なのですが、やりすぎはダメです。

信託報酬を「取りすぎ」なアクティブ投信

先に言っておくと、すべてのアクティブ投信が信託報酬を取りすぎているというつもりは全くありません。ここでは、信託報酬が4階建て構造になっている高コストなアクティブ投信を槍玉に挙げたいと思います。

高額な信託報酬率が設定されているアクティブ投信の一部は、外国投資信託証券を組み込んだ「ファンド・オブ・ファンズ」形式で運用されていることがあります。投資信託の目論見書で「ケイマン籍外国投資信託証券」や「ルクセンブルグ籍外国投資信託証券」といった単語が出てきたら、ほぼ間違いありません。

このようなファンドの何が問題かと言うと、わざわざ仕組みを複雑にして信託報酬率を高くしていることです。たとえば、ケイマン籍の外国投資信託証券を組み入れたある投資信託は、次のような信託報酬率になっています。

委託会社 年率0.40%
販売会社 年率0.60%
受託会社 年率0.025%
投資信託証券 年率0.795%程度
合計 年率1.902%程度

通常の投資信託の信託報酬率は3階層構造ですが、この投資信託の場合は4階層構造になっています。ケイマン籍の運用会社に0.795%の報酬を支払うのはまだ理解できますが、委託会社に0.40%もの信託報酬を支払うというのは、どうも納得がいきません。

だって、委託会社は運用らしい運用なんてほとんどやってないじゃないですか……

委託会社は、ルクセンブルグ籍の投資信託証券を自分の投資信託に組み入れているだけで、株式の運用などは何もしていません。やることといえば、毎月の分配金の払い出し、月報作成、運用報告書の作成ぐらいのものです。それだけで、0.40%も取りますか?

言うまでもなく、このような手数料は「悪い手数料」です。

販売会社に「忖度」した信託報酬

利益を投資家へ還元するため、純資産の規模に応じて変動する信託報酬率を設定している投資信託もあります。これは非常に良心的な「良い手数料」ですね。

一方、純資産の規模に応じて販売会社の受け取る信託報酬率が変動する訳のわからない投資信託もあります。最盛期に6兆円近い資産を集めた「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(通称:グロソブ)もその1つで、販売会社にとって実に好都合な手数料体系になっています。

グロソブの信託報酬率は、下表のように、各販売会社の純資産残高に応じて委託会社と販売会社の取り分が変動します。販売会社の信託報酬率は、最低で0.350%、最大で0.950%なので、なんと売り上げによって2倍以上の差がつけられています

各販売会社の
純資産残高
100億円以下 1000億円~
1500億円
8000億円超
委託会社 0.850% 中略 0.500% 中略 0.250%
販売会社 0.350% 0.700% 0.950%
受託会社 0.050%

一方、購入者の支払う信託報酬率は固定なので、購入者には何のメリットもありません(笑)

このような販売会社に有利な手数料設定も一因となり、グロソブは投資信託史上過去最高の純資産残高になったのでしょう。販売会社としては、まさに人参をぶら下げられた馬のような状態で、セールスに力を入れないわけがありません。

このような信託報酬は、販売会社目線で見ればある意味「良い手数料」なのかもしれません。一方、投資家目線で見れば、もちろん「悪い手数料」です。せめて、販売会社へ還元している信託報酬の一部を投資家にも分配する(=信託報酬率を下げる)くらいのことをはして欲しいですね。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする